te_riの村上巨樹、片山貴志それぞれが影響を受けたアルバムを10枚ずつセレクトして紹介。アヴァンギャルドなプログレやジャズを中心に置きつつポップスの名盤がそこここに顔を出すあたりに、先鋭的ながらどこか人懐っこさも併せ持つte_riの音楽性を読み解く鍵がある（かもしれない）。
村上巨樹が選ぶ10枚(順不同)
(1)ZNR「TRAITE DE MECANIQUE POPULAIRE」
チェンバーものは色々聴いてたけど、フランス近代特有の洒脱さが好きだ。te_riの曲の短さの由来の1つ。くしくもデュオ編成だし。
(2)Egberto Gismonti「solo」
子供の為の三部作やナナ・ヴァスコンセロスとのデュオも好きなんだけど、聴いた回数はこれが圧倒的。シンプルで壮大で美しい。
(3)tipographica「God says I can’t Dance」
リズムの細分化は勿論だけど、今堀さんの和音にも影響を受けた。アルバムは全部持っててどれも愛聴盤。強いて挙げるならこれ。
(4)Ruins「TZOMBORGHA」
デュオバンドやっててルインズから影響を受けてなかったらモグリでしょう。「ルインズじゃないことをデュオでどうやるか」が出発点だったような。
(5)Conlon Nancarrow「Player Piano, Vol.1」
小節線をいかにまたぐか、この解法を教えてくれた存在。MIDIの先祖とも呼ばれているけど、プレイヤーピアノの自動演奏風景は音ゲーに似てる。
(6)キリンジ「3」
複雑なコード進行を研究する為にスティーリーダンやスティービーワンダーも聞いてたけど、同時代性や距離の近さを考えると、より影響を受けた。
(7)加藤崇之トリオ「GUITAR STANDARDS」
ボイッシングの奏法は加藤さんから学んだ。3〜4年ほどレッスン通った。改めて聴くとやっぱり凄い。内声の重要性/断定を避ける事を教わった。
(8)Mandalay Myoma Group「LIVE SHOW」
ミャンマーの国民的音楽集団・ミョウマ楽団のコンサート映像集。リズム馬鹿の自分にとってミャンマー音楽はリズムの極北の1つ。現代音楽とフリージャズとグリッチテクノの和集合に位置する。
(9)EXPO「エキスポの万国大戦略」
コンピュータのエラーやバグを醍醐味と捉える発想や、人間と機械の関係性を考えるきっかけになった1枚。これきっかけで三輪眞弘を聴き始めた。
(10)Aphex twin「Richard D. James Album」
年齢的にテクノを通過したの世代なのは大きかった。美メロと複雑なリズム展開の真骨頂。リズムの細分化により特化した人もいるけど、トータルのフォルムはこちらが好き。
片山貴志が選ぶ10枚(順不同)
(1)細野晴臣「コインシデンタルミュージック」
その世界観を表現すると言う意識を学びました。 説明は出来ないけどグッとギアが入る感じが好きです。
(2)夏木マリ「印象派」
これも表現すると言う事を考えさせられるCD。 音や声の質感で奥行きが出る感じが素敵です。
(3)UA「LA」
曲もアレンジも演者も最高なライブ盤。 それまで聴いた事無かったドラムが新鮮でした。
(4)bozo「1st」
ジャズへの憧れは非常に強いのですが、 この盤は只者では無いと言う感じです。
(5)Airto Moreira「Fingers」
ブラジル音楽の入り口だったのですが、 今もなお褪せる事無くリズムもメロも格好良い名盤です。
(6)Hermeto Pascoal「Montreux Jazz Festival」
音楽が楽しくて自由だと言う事を知ったアルバムです。 後ろや見えない所から突然物語が始まる感じが印象的です。
(7)Shakti「Shakti With John McLaughlin Live」
超絶技巧も登り詰めれば神に近づくと言う感覚。 掛け合いで遊び倒している様とか最高です。
(8)Arti E Mestieri「Giro Di Valzer Per Domani」
人間離れした埋めまくるドラミングに憧れました。 それだけでなくメロディーや構成も素晴らしい名盤。
(9)Captain Beefheart「Trout Mask Replica」
何処にも属さないし何処にも行かないし説明も出来ないけど最高に痺れます。 その不確定な要素に自分自身が在りたい様に感じる事があります。
(10)Return to Forever「Return to Forever」
フワっとしたポリリズムと心穏やかなシーンと燃え上がるエネルギー… ドラマティックな展開にいつまでも心躍ります。