拠点を岩手と岡山という遠距離に置く二人組による脱臼インストロックバンド、te_ri。結成10年にして現時点での達成点ともいえるアルバム『kasugai low gravity』のオフィシャル・インタビューを前・中・後編の全3回に分けてお送りします。
前編はte_ri結成の経緯や影響を受けたアーティスト、作曲ソフトのバグを利用した独自の作曲法、そして遠距離での練習方法までを解説。YouTubeの動画も合わせてお楽しみください。(文・構成:大久保潤)
■いかにしてte_riは結成されたか
– te_riってどんなバンドなのかというところから入りたいと思うので、まずはメンバー紹介をお願いしたいと思います。まずはお互いにお互いを紹介してみてもらえますか? では村上さんから。
村上(以下M):はい、ドラムの片山貴志さん、39歳で大阪出身、ドラマーです……以上(笑)。
– シンプルですね(笑)。では今度は片山さんの方から村上さんについて、お願いします。
片山(以下K):村上巨樹、僕はいつも村上くんと呼んでます。僕より5つくらい若いのかな?
M:35です。
K:4つ下ですね。「初めまして」の時は、完全にオタク気質の人やなと。コミュニケーション取れない人だろうと思ったんですよ。でもスタジオ入ってみた手応えが良かったので、今に至ります。あの時に見た目だけで判断して交わることがなかったら、今はないです。そのオタク気質はより押し進めて今も継続していて。
– (笑)
K:鋭さというか、変化球の品質が変わっていって、だいぶすごいことになってます。今もなお探求してらっしゃる、まあ頭のおかしい人だと思います。
– コミュニケーションについてはその後は問題なく。
K:そうですね、しっかりしすぎててこっちが引くことがあるくらい(笑)。僕がどっちかというと適当な人なので。
M: ツアーのブッキングとか、ホテルの手配とかは100%僕がやってますから。あ、補足しますと、村上はギターやってます。
– では続いてte_riというバンドがどういう風に結成されたのか、経緯をお聞きしたいです。
M:今年で結成10年なんですが、もともと僕はデュオバンドがやりたかったんですね。で、ドラマーを探してました。誰かいないかなと友達に相談したら、大阪にいいドラマーがいるよって紹介してくれたんですね。それが片山さんだった。
– じゃあ結成前には面識はなかったと。デュオという以外に、構想とかイメージしていたものはあったんですか? ドラマーに求めるものとか。
M:デュオバンドをやりたいというのは、Ruinsへの憧れがあったんですね。当時も今もRuinsには多大に影響を受けていて、ああいうことをやりたいというのはありました。なので、ドラマーのスタイルとして吉田(達也)さんに近いような人がいたらいいな、というのは思い返せば多少はあったと思います。
Ruins
https://www.youtube.com/watch?v=cykdVBbhvEA
– 「多少は」ということは、実際にバンドを始める時に「Ruinsみたいな」というふうに説明したりしていたわけではない?
K:その情報は僕はもらってなかったですね。初めましての時に好きなバンドは何ですかって聞かれたので、イタリアのプログレのArti E Mestieriって答えたら「僕も好きです」って自転車の後ろから言われたーー二人乗りしてたんですけど。Ruinsについてはもっと後に共有したんだったかと。
arti & mestieri
https://www.youtube.com/watch?v=qG2f8vo5kqw
M: そのArti E Mestieriというバンドもドラマーが吉田達也みたいに筋肉よりなんですね。なので、まあルインズの名前は会った当日話さなくても、Arti E Mestieriからお互い筋肉ドラマーへの憧れというのはありましたね
K:共通言語的なキーワードとしてあった。
– Ruinsとte_riの共通点いうと、まあ速くてカクカクしてるというか。
M:ええ、テクニカルで、あとマッチョな感じ。僕はマッチョではないですけど、内面的にはあのくらいガッツのある音楽は好きですね。ハードコア的なというか。
– 結成は東京で?
K:僕が大阪にいた時に、村上くんが大阪に遊びに来てて。僕は東京でもうちょっと音楽を本気でやりたいなというイメージを持っていたタイミングで出会ったので、何かやれそうかなと思ったんです。で、大阪で初めて会って、「オタクだな」と感じた印象のまま(笑)2時間スタジオ入りました。その時僕は機材を持って行って録音したんですけど、録音した音源が結構建設的だったり、時には裏切ったりと面白い物語を展開していた。それをそのままファーストアルバムとしてCD-Rでリリースしたくらいで。面白い始まりでしたね。
M:最初のセッションで馬が合ったというのは僕も印象が強かったですね。
– その最初のセッションは何か事前に準備とかしてたんですか?
M:いや、ぶっつけですね。
K:100%即興なんですけど意外とお互い建設的で、展開のスピードアップの仕方とかがどこかで近しかったり、お互いにやりたいことがわかったようなニュアンスがあった。スタジオ終わった後に握手をして「バンドやりましょう。とりあえず10年やりましょう」と。その10年がもうすぐ。
– 最初の段階では即興で、その後はすぐに曲を作り始めた感じですか? 即興でライブやったりしたことはない?
K:大阪で一回ライブやったんですよ。それは即興だったんですけど。
M:まあ、あれはノーカウント的な。
K:結成前夜くらいの感じですね。実際に東京で活動を始めてからはちょっとずつ曲を作って活動していたという感じです。
■作曲方法の変遷
– 曲はどちらが作ってたんですか?
M:今でもそうなんですけど、僕が基本的に作ってますね。ただ、バンドを始めた頃はギターのリフを僕が作って、それに沿うようにドラムパートを作ってもらうという感じでした。
– ドラムについてはお任せで。
M:はい。始めた頃の曲は楽譜も作ってなくて、ざっくりしたリフで「四回やったら次の構成番号に飛ぶ」みたいな。今から考えるとありえないくらいざっくりした曲構成で一曲でっち上げてました。
– 僕が初めてte_riのライブを見たのは7〜8年くらい前だと思うんですけど。その頃はまだ楽譜は作ってなかったんですね。
M:そうですね、今とは緻密さはだいぶ違いますね。今の方が50倍くらい緻密。
K:確かに(笑)。
M:昔は楽譜じゃなかったので、口三味線で「こういう風な感じで」みたいなやりとりでした。
K:実は最初の頃、僕が作曲したこともありました(笑)。
M:え、あったっけ?
K:あったよ、極めて少ないけど。僕が逆にメモ紙に譜面を書いて持ってきて一緒にやったり。だいぶ過渡期ですけどね、最初の頃の。
– 当時も緻密に感じましたけど、今ではさらにガッチリと緻密に曲を作ってるということですね。
M:ガチガチですね。
– 前作『far east debug』はライブ録音ですよね?
M:あ、あれは違うんです。スタジオ録音とライブ録音をドッキングさせてるんですよ。より正確に言うと、喋りが一曲ごとに収録されているんですが、その部分はライブでのやり取りをそのまま録音しています。そのMCを導入部として曲に移行する。曲自体は100%スタジオで録音したものです。
– あ、そうなんだ。ライブ録音でこの演奏はすごいなと思ってたんですけど(笑)。それはさておき、その喋りの中で、全部四拍子ですと言ってますよね。カクカクして聞こえるけど譜面上は四拍子だと。そこで個人的にはTipographicaを思い出したんですが。
Tipographica
https://www.youtube.com/watch?v=FW2RaFJLBpQ
M:はいはい、すごく影響を受けてますね。TipographicaとRuinsから作曲ではすごく影響を受けてます。その2バンドは作曲の方向性が若干違ってて、Ruinsだと変拍子のプログレというか、短いリフを何回か繰り返して次の展開に行くのを矢継ぎ早にやる。Tipographicaは1小節の中をどんどん割り算で細かくしていって、ちょっと不可解なつんのめるようなリズムをやっていたと思うので、その二つのバンドのいいとこ取りみたいなことをやってますね。
– なるほど。
M:で、結成当初の曲作りは口三味線でまずリフを作るというものだったんですが、今はコンピュータで楽譜を作ってるんです。
– ほう。
M:それと、口三味線時代とコンピュータ時代の間に、6年くらい前だと思うんですけど、僕がギター譜を手書きで五線紙に書いていた時期もあります。なので、te_riの10年の中でも楽譜のない時期、楽譜はあるけど手書き止まりの時期、パソコンのソフトウェアを使った時期の三段階に分かれてますね。
– それによってアウトプットもけっこう違ってきました?
M:かなり違いますね。楽譜の存在しない時期だと、ルインズやティポに憧れていたので、いかに複雑であるかというのは求めてはいるんですけども、そこにうまく帰結できなかった。五線譜で書き出してからは、多少複雑さを出力することは前よりできるようになったんですけど、でもやっぱりたかが知れていて。例えば「こことここに適当に八分休符を入れてちょっと不可解なリズムにしよう」というのをオタマジャクシ上で書いたとしても、それが実際にどう鳴っているかを再現するツールがなかったので、そんなに複雑怪奇なことはオタマジャクシでもできなかったんです。
– はい。
M:それが今はパソコンのソフトウェアを使って変なオタマジャクシを入力すると、再生ボタンを押すと実直にそれを再現してくれるので、コンピュータがどういう状況でも正確に再生してくるという実直さを逆手にとってます。
– より複雑さを追求できると。現在の譜面ではドラムまで記しているわけですか?
M:いや、ドラム譜はないです。片山さんはどういう風に作ってるんですか?
K:まずもらったデータがクリック音しかないので、そのギターで展開されているグルーヴに対して、こうしたいというのを考える。まずは聴き込まないと意味がわからないので……聴き込んでも意味はわからないんですけど(笑)。聴き込んで譜面も見ながら、自分がそこで何をしたいかを探すんです。このフレーズに対してはこう乗りたい、っていうのを自分で考える。僕はドラムセットをあまり触らないので、音色とかリズムの感触をイメージしておいて、擦り合わせの時に「ここはこうしたい」と伝えます。そこでオッケーが出るときもあれば、「いや、そこはそういう意図ではイメージしてないんですよ」という風に作曲者の意図も汲みながらまた自分で考えて作ったり。なので、ドラムの譜面はありません。
– なるほど。頭の中でイメージしておいて、後で二人で合わせながら擦り合わせていくと。
M:そうです。ドラムが作ってきたのを、僕が結構口出しすることはありますね。
■バグを取り入れた作曲
M:試しに一曲、楽譜を見てもらえるとわかりやすいと思うんですけど(図1)。
– ドラムの方は4部音符だけですけど、これはクリック音ってことですね。
K:midiで再生しても「ポン、ポン、ポン」だけ。
M:パソコンのソフトウェアで打ち込むと、最終的にPDFの楽譜とそのソフトウェアで再生するためのmidiデータの2つが出来上がります。それらを片山さんにdropboxで送ってます。midiデータの再生ボタンを押すと、いわゆるデモテープが流れるような感じ。それはギターパートとクリック音のみが聞こえるので、この縦線に合うようにドラムパートを作ってくださいという感じですね。パソコンで作曲をすることでの複雑さということで、例えば、この楽譜の3段目の2小節目。
– 「必然的にスタッカート」と書いてあるところですね。
M:この一拍目とか、ありえないんですね、西洋のクラシックの楽理でいうと。「必然的にスタッカート」というのは、二つ同じ和音が連続していて、でも前半のそれは実は前の小節のケツにあったものなんです。ところが前の小節に8分休符が二つ最後についてると思うんですけど、この2拍を入力することで、次の小節に押し出した形なんですね。そうすると「必然的にスタッカート」と書いてある箇所は、実際にやってみると指し示してる和音の距離がすごく近くて、つんのめった感じになるんです。
– ふーん。
M:他の例としてはもう一つ下の段、四段目の3小節目。
– 「おばけ」って書いてあるところですね。
M:小節の上を見ると四連符と三連符が入れ子になっています。これもやはり西洋のクラシックの書き方ではこれは無理なんですね。でもソフトウェアの能力的には書けちゃうので、無理矢理パソコンにやらせて再生ボタンを押すと、なぜかこのオバケって書いてある位置で音が出るんですよ。
– ほお!
M:ていうところまで耳コピをする、というのが現在の僕らの作曲法ですね。
– ありえない譜面を書くことによって、再生すると変な鳴り方がするのを、さらにコピーすると。
M:西洋の楽理的にはNGなんだけどパソコンでは書けてしまうありえない楽譜。それを再生すると、つんのめったり、変に聞こえたり、めちゃくちゃ間が空いたり、すっとこどっこいに聞こえたりする。パソコンのバカ正直さでもって変なノリの曲を作って、僕らがそれを耳コピするという。なので、このソフトウェアでどこまでリズム的に冒険できるのかっていうのは結構調べて、できるだけ限界まで求めてますね。
– なるほど、ゲームの裏技探しみたいな。
M:デバッグに近いと思います。
– パソコン上で楽譜を書いていくのは、自分のイメージした曲想を書き留めるというよりは、変わった形をとりあえず置いてみて再生するとどうなるかを探る作業という感じですか。
M:後者の方が割合は大きいですね。ただ、パソコンを使っての作曲法はもう4年くらいやっているので、どういう置き方をしたらどういう効果が得られるのか、いくつかは法則がわかっているものがあります。頻出する定番の公式はありますね。ただ、今でもアトランダムにオタマジャクシをポチポチ置いてみて、予想したよりいい結果が跳ね返ってきた時はそれを採用しています。
– 公式サイトのプロフィール欄で「作曲ソフトのバグを活用した作曲」と書いてありましたけど、具体的にはこういうことなんですね。
M:そうですね。その中でも使えるバグと使えないバグがあるので、使えるバグだけを集約するとこういう形です。
– 僕が「バグを利用した作曲」というのでイメージしてたのはちょっと違ってて、Oval的なやつを想像してたんですよ。
Oval
https://www.youtube.com/watch?v=DpWU_Nrwe10
M:Ovalは名前だけしか聞いたことないですね、どんなのですか。
– 簡単に言っちゃうと、CDの音飛びを使って曲を作る。それをシステム化してあるっていうものなんですね。
M:なるほど、それだと近いようでちょっと遠いですね。日本の音楽シーンでコンピュータのエラーを生演奏でやるというのはEXPOっていうバンドが最初だと思うんですよ。ティポグラフィカの作曲にも多分携わっている人たちだと思うんですけど。京浜兄弟社に属していたテクノユニットで。YouTubeに一曲あるかな。それはシーケンサーに無茶をやらせるというやつだったんですけど。
EXPO
https://www.youtube.com/watch?v=GvKOwUN1Bdo
– ああ、なるほど。あと話を聞いていて思い出したは最近のジャズですね。ヒップホップやR&Bに影響を受けた人たち。例えばヒップホップでドラムのフレーズをサンプリングする際に、1小節を綺麗に切り取るのではなく、ちょっと半端なところでズラして切り取ってくる。そうすると、ズレたままそれがループされていきますよね。その、ズレたままループするリズムパターンを生演奏で再現するっていう。
Robert Glasper Experiment
https://www.youtube.com/watch?v=JOh2R9gckT0
M:マーク・ジュリアナは入りますか?
– あ、入りますね。
M:僕が知ってるのはそれくらいですね。片山さんはどうだろう
K:僕もマーク・ジュリアナのプレイは大好きですね。アルバムもかなり買いました。エレクトリックにあんなに強くて、どジャズもいけるという。プレイのスタイルっていうよりも、人がすげえなと思います、存在感が。シーンとしてはちょっとわからないけど、でも聞いた感じだけでも面白そうだな、自分でやっても面白いだろうと想像はできます。
Mehliana (Brad Mehldau & Mark Guiliana)
https://www.youtube.com/watch?v=cnH27mxW0KM
– 今の日本のシーンで、作曲なり何なり、感覚的に近いと思うようなバンドっていますか?
M:まあ、うん、ちょいちょいいます。具体的に名前を挙げると、トゥラリカっていう名古屋のバンド。
K:トゥラリカはいいね。
トゥラリカ
https://www.youtube.com/watch?v=VNhQYxFjUa0
M:あとは熊本のDoit Science。どちらもティポグラフィカ・フォロワーみたいな感じはします。
Doit science
https://www.youtube.com/watch?v=-Bp0hWht3VI
– te_riはマスロックって言われることが多いと思うんですけど、自分ではいわゆるマスロックと言われる人たちと共通点はあると思いますか?
M:そもそも僕らからマスロックですとは言ってないですよ。他の同時代のマスロックのバンドとかは、対バンしたりもするので聴く機会はあるんですけども、やってることはかなり違うなと思いますね。
– うん、話を聞いてると違うなと思います。
M: 今のマスロック……というのも変な言い方ですけど、彼らのやっていることってポスト・ロックの延長線上にあるものだと思うんですよ。
– ああ、そうですね。
M:ポスト・ロックのスピードをちょっと早くして、エモーショナルにしてソリッドにして、みたいな風に僕は思っていて。でもte_riのやっていることは、確かにマスロックっぽく聞こえるとは思うんですけれども、アプローチというか、やってることは相当違うなと思いますね。
■遠距離バンドの練習方法
– 話はちょっと変わるんですが、ここ何年かはいわゆる遠距離バンドとして活動してますよね。で、作曲方法についてはだいたいわかったんですが、素朴な疑問として、練習ってどうしてるのかなという。
M:練習はネットでやってます。
– ネットで?
M:ヤマハのアプリケーションで「netduetto」っていうのがあるんですね。これをお互いのパソコンにインストールして練習しています。Skypeの映像がない版みたいな感じですね。
– ああ、音だけで
M:セッション用のアプリみたいなものなんです。例えば僕ならギターからDI(ダイレクトボックス)をかまして、卓をかまして、パソコンにつないでいる。片山さんの方は?
K:エレドラ、卓からUSBでパソコンにつないで、netduettoで共有できる環境になってます。
M:お互いの出音がパソコンにダイレクトに入力されて、絵はないにしてもセッションはできるんです。それでまあどうにかこうにか、遠距離でもやってますね。ただこれね、タイムラグがあるんですよ。ちょっとだけ。
– こういう緻密な音楽だと、ちょっとだけといっても致命的になりそうな気がするんですけど。
K:致命的です。岩手と岡山で0.5秒くらい遅れるんですけど、岡山で僕がオンタイムで叩こうと思ったら、岩手で常に0.5秒食い気味で演奏をしないと、僕のドラムをちゃんと聞いて演奏しちゃうとちょっと遅くなる。そのちょっと遅くなったのに僕が合わせたりしたら、もうなんぼでも遅くなる(笑)というよろしくないズレがあるので僕は自分の演奏を動画に撮ったやつをYouTubeに限定公開でアップしてます。
– ほう……(ちょっとわからなくなってきてる)。
M:話を整理すると(笑)netduettoで練習をする時は、岡山で片山さんがオンタイムで聞こえるように、僕がすべてのギターをちょっと前ノリで弾いてるんです。0.5秒くらい。そうやって練習します。で、それだと僕の練習には正直ならないので。
– ですよね。
M:なので、片山さんの練習風景を動画に撮ってもらっておいて、それをYouTubeに上げてもらって、僕は後日そのドラム映像を見ながらギターの練習をするという流れです。
– あー……。
M:二人バンドだったからできました。これ、三人じゃ無理でしたね。三人だったら解散してました(笑)。
K: ヨーロッパやアメリカに行きますよ、全国ツアーしますよという時も、案外二人だとフットワークが軽いし。三人、四人、五人となるとなかなかメンバーが揃わなかったりしますよね。練習でも。二人バンドというのは条件が良かったかなと。スタジオも個人練で入れたし(笑)。
M: 個人練はでかいですよ。デュオバンドをやりたいというのがそもそも念頭にあったとはいえ、デュオであることによって得られるメリットはすごく多いです。
– 思ってた以上にデュオで良かったと。
K:初めましてのときは、僕は当時三人とか五人のバンドも大阪でやってましたけど、ギターとドラムの最初のセッションだけで素直に「よろしくお願いします」って言えたんです。普通の人だったら「じゃあベース探そうか」ってなると思うんですけど。その概念も気持ちも何にもなくて行けたのは、すげえ出会いだなと思っています。
M:俺はルインズみたいにやりたかったから別のメンバー探したくなかったんですよ。そもそもいらなかった。でも、その話はまた別の時にしたもんね。会って何回か後に。