MYANMAR RECORDS ARCHIVE

レーベル別にまとめます。(AtoZ)

Accordion Record Company

※両面で1曲
title:Mahar Nadi
singer&Composer:Accordion Ohm Kyaw
アコーディオン奏者兼歌手であるアコーディオンアウンチョーの一曲。タイトルは直訳すると「偉大な川」であり、ミャンマー最大の河川エーヤワディー川を指す。川沿いの風景を歌っているこの曲はアコーディオンの早弾きで始まる。プログレッシブロック(特にスウェーデンのサムラママスマンナ)を彷彿とさせる早弾きののち、歌が始まる直前でテンポは一気に降下。緩やかな風景に一変する。その様は「上流部で急激に高度を落とし、中央ビルマ盆地を南流する」(1)エーヤワディー川そのものを彷彿とさせる。バイオリン、マンドリン、スライドギターなど西洋楽器を使ったカーラボー(大衆歌謡)は数あれど、アコーディオンは珍しい。
参考文献 (1)田村克己、松田正彦編著『ミャンマーを知るための60章(エリアスタディーズ(125)』:明石書店、101頁。


A One Electronic Recording

※両面で1曲
title:Chit Moe Swe
singer:Pyi Hla Pe
backing musicians:A One Than Sone
「雨のようにしとしと降る愛」というラブソング。伴奏は全て西洋楽器(サンダヤー、ヴァイオリン、スライドギター)で構成されている。歌うは往年の人気歌手・ピーラーペー。コード感の希薄さと音符の細かさゆえ、地に足が付いてないように聞こえ、思わずそわそわしてしまう。エーワンはミャンマーの代表的なレコード&映画会社。


Aung Ko Ko Recording

※両面で1曲
title:[A]Yae Oh Ko Si / [B]Latt Pan Pwint Khaut Ya Aung
singer:Maung Ko Ko
両面ともマウンココの歌。[A]カントリー風のカーラボー(大衆歌謡)。サビ頭のハーモニーが印象的、と思ったら一気にミャンマー色が濃くなる。タイトルは直訳すると「水がめ1つずつ」。田舎の夕暮れの景色の美しさ、女性が水を汲む様を歌っている。[B]ブラスセクションが軽快に鳴るトロピカル歌謡。タイトルは直訳すると「ワタノキに咲く花を拾いましょう」。村の女性たちが歌いながらワタノキの花を摘む様子が描かれている。ワタノキの花は薬や料理に用いられる。


Aung Kyat Thayae Record Company

※両面で1曲
title:Maung Ma Ma Pan Nwe
singer:Torn Tay Thein Tan
compose?:Ko Win Naing
ミャンマー歌謡界の大御所・トンテーテインタンが歌う、「花のようなあなた」という曲。遠くにいる女性へ想いを馳せている。サインワインとサンダヤーとブラスが織りなす悠久感に思わず耳がほぐれる。クレジットにコウィンナイン(人名)とあるが、どんな役割をしたかは不明。ラベル上部にガルーダあり。


Aung Kyaw Dat Pyar

※両面で1曲
title:Damma Sat Kyar Mae Shwe
singer:Tin Tin Mya
メーシュイという名の女性が主人公の、仏教にまつわる歌。前世で善行を積んだであろうメーシュイはとても賢く、肌が金のようにきれいだった。ある日メーシュイは寺院へお経を聞きに行った。その時聞いたお経の名はダマセッチャー。長いお経だが、メーシュイは一度聞いただけで暗唱できた。僧侶から「毎日をお経を読みなさい」と言われその通りにすると、ある日他の街から来た商人の男性と出会い、やがて結婚した。「お経を読むと良い報いが帰ってくる」という歌。サウンド面はサンダヤー、パッワイン、ギター、パルウェイ、ビブラフォン、バイオリンと豪華な布陣。


Aung Kyaw Nyunt Record Company

※両面で1曲
title:Thabarwa Thar Te Maung Toe Ywar
singer:Torn Tay Thein Tan
「俺たちの村は自然に恵まれている。花、山、小川、森ーー。都会のような派手さは無いけど、手付かずの自然の中だと心安らかにいられる。もしあなたが来るなら、僕は村の入り口まで迎えに行くよ」と歌っている田舎賛歌。楽器編成はサインワイン楽団、サンダヤー、パルウェイ。B面のサンダヤー早弾きが素晴らしい。かつてレコードは、都会に出稼ぎに来た者が故郷を懐かしむツールでもあった。


Aung Pan Myaing Dat Pyar

title:A Mae Chwe Ma A Lane Mar
singer:Hintthata Tun Yin
composer:Ko Win Soe
backing group:Ko Win Soe Tae A Pwe
タイトルを直訳すると「賢い私の義理の娘」。A面は結婚式の場面。姑が「私は義理の娘を見るだけで疲れが取れる」と歌っている。B面は結婚式の場面。「仏、お経、僧侶、親、先生を尊敬する上品な女性、そんな良い相手と結婚式ができるなんて」と姑が出来の良い義理の娘を喜ぶ歌。伴奏はサインワイン楽団、サンダヤー、ビブラフォンという編成。歌の部分に比べて間奏がややテンポアップしており、そのギアチェンジが聞きどころだ。


Aung Sit The Record Company

※両面で1曲
title:A Nyar Lhae Nint Myit Tar Shin
singer:Maung Maung Nyunt
compose:Win Soe
「バガンを流れるエーヤーワディー川であなたと一緒に船に乗ったね」と、離れた恋人を想うラブソング。バックを務めるのはサンダヤー、フネー、ビブラフォン。特にビブラフォンが入る編成は珍しく、まろやかな音色が夢心地感を醸し出しているし、バタ臭くもある。タイトルのA Nyar(アニャー)とは、エーヤーワディー川上流域の平地部を指す。(明石書店「ミャンマーを知るための60章」より)


Aung Tha Pyae Dat Pyar

title:Kuna Yat Tine Tine
singer:Ko Mya Gyi
Composer:Ko Myat Lin
タイトルは「七日間続けて」。田舎に帰った主人公が別の地にいる恋人に思いを馳せ続けている歌。サウンド的にはサインワイン、サンダヤー、パルウェイ(縦笛)がバックを支える。技巧に長けたメリスマ唱法が聞きどころ。ラベルに描かれた植物はフトモモで、現地では縁起の良いとされており、仏壇やパゴダに祀られている。そして「ヤンゴンの28番通り、ビル番号89」とレコード会社の住所も書かれている。

actor:[A]Myanmar A Than Ko Thit Sor,A one Tin Tin Hla / [B]Myanmar A Than Ko Win Myint,U Maung Gyi, Gita Tin Own
「私たちの田んぼで良い穀物が取れるようにがんばりましょう」という芝居のレコード。田植えをしている女性たちが「あなたのことを誰々が好きらしいよ」と村の恋バナを喋っている。B面は男性たちが酒を飲みながらゴシップを話している。A面でフィーチャーされているビブラフォンが夢想感を醸し出す。ラベルにはTat Kyat Kyi Khin Nyune(キンニュッ軍曹)と軍人の名前があるが関係性は不明。出演者名の頭に冠しているMyanmar A Thanは現地のラジオ局、A Oneはレコード兼映画会社エーワンのこと。ミャンマーでは名前の前に当人の職業や出身地が付き、ここでは所属を意味すると思われる。


Aung Thone Aung Dat Pyar

※両面で1曲
title:Thit Sar Soe Thu Shi Bi Htint
singer:Shwe Myaing Maung Ohm
composer:Pantara Chit Hlaing
スライドギター、バイオリン、パルウェイ、フネー、太鼓(判別不明)、ワー(カスタネット)という珍しい編成。B面のインスト部分の、調性とリズムがうねる瞬間にぎょっとする。なんて素晴らしい歪みだろう。タイトルは直訳すると「誓う人がいるかなぁ」。片思い、そして失恋の歌。


Bago Dat Pyar

※両面で1曲
title:Ma Ma Man Kay Thi
singer:Khin Maung Than Lay
Composer:Ko Lay Lwin
主人公がマンダレー在住の女性から「夏休みに私の街に来ない?」と誘われている歌。主人公は「あの女性は笑顔が素敵だ」と既にメロメロ。A面では「夏休みになったら、マンダレーの綺麗な景色やパゴダを是非見に来てください」と歌われており、B面では実際に現地を訪問した場面が描かれている。マンダレーだけでなくミングォンにある巨大な鐘もあり。

title:A Nyar Nwe Oo Ta Kar Nay Buu
singer:Kin Maung Than Lay
compose:Ko Lay Lwin
キンマウンタンレーの歌。タイトルは「アニャー(上ビルマ)の夏を過ごしたことがある」。「田舎の女性は夕暮れになると川辺に桶を持って行き水を汲む」と、田舎の思い出や穏やかさを反芻している。楽器編成のほとんどが西洋のもので、編曲もモダンで洒脱。そこにミャンマー的なメロディが綿密に編み込まれており、まるで巨大な一枚の布のように聴く者を優しく包む。コレールウィンはミャンマーの中村八大と言ったところか。

title:Kyar Lay Lay Khine Myae Lay Lay
singer:Myo Myint Lay
composer:Ko Lay Lwin
「期間が長いほど絆が強くなる」というタイトルのラブソング。「人の心というのは、手に入らないものほど欲しくなる」「君に対する想いは会えないほど強くなる」と歌っている。「ミャンマーの中村八大」と勝手に呼んでいるコ・レールィンの作曲作品。伸びやかなヴォーカルと柔らかな楽器隊の音色が折重なり、実に良い温もりを作り上げている。型番のPGUはペグー(バゴー[Bago]の旧名)ってことでしょう。


British Burma Film Recording Company

[A]title:Gon So Tar Ngwe Ko Khall Tal
singer:Thu Kha
[B]title:Maung Gyi Yae
singer:Mying Mying Khin
ブリティッシュ・ビルマ映画会社製作のレコード。A面は現地映画界で有名な映画監督ウ・トゥカの歌唱。酔っ払いが「お金があれば愛なんてどうってことない」と歌う植木等的コメディソング。B面はミンミンキン(メースウィ(May Sweet)の母親)が「田舎の生活ぶりをあなたにも見せたい」と歌っている。歌詞に登場するンガピーイェーはミャンマーの魚醤。2曲とも底抜けに明るくハイカラ。

title:Sat Kyar Thike Tha Chin
singer:Khin Maung Yin
Composer:Dagon Sayar Tin/U Ther Tin
ブリティッシュ・ビルマ映画会社製作のレコード。この歌は1301年に残された言い伝えを元に、独立後のミャンマーの姿を希望を含め予言している。「ミャンマーはまもなく輝く。ミャンマーは必ず勝つ。時には急な流れ。時には穏やかな水。諦めるな。」とリスナーに訴えている。スライドギターが伴奏の主軸を担う珍しい編成。


Columbia

title:Sat Lae Ma Shwin
singer:Oak-Aw Ba Thaung
タイトルは直訳すると「幸せではない気持ち」。遠く離れてしまった彼女を思う男性の歌。男性は月を眺めながら、会えない悲しさを何度も繰り返す。言葉はわからなくても、その点描のようなヴォーカルが悲しさを表す。サンダヤー+フネーという小編成さも切なさを醸し出す。

title:Chit Nate Ban
singer:Sein Party
Composer:Shwe Pyi Aye
タイトルは直訳すると「愛の涅槃」。女性から男性への愛の歌。「お互いに尽くしあいましょう。五戒を破らず涅槃まで一緒に行きましょう。」と歌詞に仏教用語が頻出するのはミャンマーならでは。ラストの複雑な展開が興味深い。サウンドはKo Aunt Gyiよろしくカントリー/ブルーグラス直系。ミャンマーのスライドギターではなく西洋のスライドギターというのがポイント。

title:Min Kan Min Nar
singer:Ma Kyi Aung
ミャンマースライドギターの演奏がふんだんに聞ける貴重盤。バイオリンや土着のゴングも登場。インスト部が長く取られており、演奏者のインタープレイが聞き所。歌詞に歌手本人の名前が時々入っている。タイトルは「王室の儀式」。マンダレー市にある王宮や王朝時代の誇らしさを歌っている。王様時代、マンダレーはヤダナーポン(=宝石が集まる町という意味)という地名だった。

title:Myan Tha Pyae Nyar
singer:Mandalay Ma Aung Kyi
ミャンマー史にメロディをつけた歌。パッタラー、パルウェイ、チーワイン(マウンサインかもし?)、アコーディオンという珍しい編成。異なる楽器によるユニゾンが主軸だが、逸脱(ジャズのアウトのよう)が頻繁にあり、しかしそれこそがミャンマーの楽器演奏の醍醐味である。ポリネシアとレコメンの合体。

monk:Kyite Wine Dama Kahtika A Shin-U Eain Na Ka
title:Budda Nat Hla Ti Swin Witt Kari Tayar Dau
ヤンゴン市チャイワイにある寺院のトップであるウ・エインナカー僧侶のお経が収録されたレコード。お経とお経の間に仏話を挟んでおり、信者を飽きさせない工夫がなされている。この手法を取る僧侶は今でもいる。ミャンマーにおけるお経と音楽記録媒体の関係は密接で、レコード以降もカセット、CD、VCD、mp3と最新のメディアを使いながら継承されている。最新の技術を使い仏と共にあろうとするのは、生きた信仰の表れだろう。


Forward Dat Pyar Company

※両面で1つ
label:Forward Datpyar company
title:Don Yin Ba Htoo Pya Zatt(5)(6)
group:Tak Ka Tho Soe Thit and Forward A Pwe Thar Myar
director:Shwe Done San Nyunt
ピャーザッ(伝統芝居)のレコード、その5と6。田舎から都会へ出稼ぎに行った男・ドンイイ゛ンバトゥーの物語。(5)は、主人公が都会で田舎者扱いされている場面。(6)は、田舎に残った主人公の彼女が村長の息子から好かれてしまう場面。音楽面ではサインワイン楽団とブラスセクションが要所要所で登場する。

title:Don Yin Ba Htoo Bya Zatt (7)(8)
group:Takatho Soe Tin & Forward Group
director:Shwe Don San Nyunt
テクニカルなサインワインから始まるピャーザッ(芝居)のレコード、その7と8。(49枚目のレコードの続き)。田舎から都会へ出稼ぎに行った男・ドンイイ゛ンバトゥーの物語。話はある家族から始まる。母親のダイヤモンドの指輪が盗まれ、ドンイイ゛ンバトゥーのカバンから見つかった。本人は「盗んでない」と訴えるが泥棒扱いされ、田舎に帰るのを決意する。悲しいほど踏んだり蹴ったりの人生、この後どうなる?タカトーはUniversity(大学)の意であり、この時大学生だったと思われる。


Gramophone

title:Pyin Sa Par Pi Episode(11)(12)
singer:Shwe Kyi Kyo & Pegu Mya
ピンサーパーピーという女性が主人公の仏話レコード。ピンサーパーピーは前世で菩薩に土を施したせいで醜い顔になった。しかし何も施さなかったわけではないので、現世で王様と結婚することができた。サインワイン楽団が賑やかに演奏するコメディ色のある仏話。ある日ピンサーパーピーは父親から「王様が芝居を主催するらしいから行ってきたら?」とすすめられ足を運んでみると…。

title:Pyin Sa Par Pi A Episode(15)(16)
singer:Shwe Kyi Kyo & Pegu Mya
ピンサーパーピーという女性が主人公の仏話レコード。エピソード(13)(14)が欠けているので前後のなりゆきが不明なのが悔しい。ピンサーパーピーが王様の妃として王宮で暮らしていると、ある日エーワディーという別の女性がやってきて…。仏話であり歌劇のレコード。

title:Ko Char Char Lar A Sone
singer:Ma Kyi Aung
タイトルは「(目が)ぐるぐる回るまで」。女性が男性に恋焦がれているが、振り向いてくれない。女性はあの手この手で繋がろうとしており、その忙しさが歌われている。これもかなり古いレコードだと思われる。1920年代の人気歌手・マーチーアウンの曲。この人が伝統音楽に西洋楽器を導入する先駆的枠割を果たした。

title:Paduma Paung Tou Zat Htoke
group:Mingalar Aung Maung Nae Bago Mya
仏話劇のレコード。昔ある国に王と妃がいた。ある日二人が浜辺を歩いていると、川上からかごが流れてきた。かごの中には別の国から来た罪人が四肢を切られた状態で入っていて、王は罪人を助ける。後日男は回復すると…。この話はことわざ「足が2つある動物は助けてはいけない(善意が報われるとは限らない)」の由来であり、現地の野外劇で上演されている。


Kabar Kyaw Dat Pyar

title:Tha Khin Mae Pa Dauk Pan
singer:Yote Shin Min Thar,Maung Maung Nyunt
composer:Takatho Cho Gyi
タイトルは「主の無いカリンの花」。遠距離恋愛の歌。編成はサンダヤー、パルウェイ、ビブラフォン、トランペット、フネー。作曲者の名に冠せられているタカトーとは大学の意で、自身の学歴を誇っていると思われる。ヨーシンミンターは俳優の意。


Kar Kwal Ye Htar Na Sit Yea Choke Yone

※両面で1曲
title:Doe A Lote Tha Mar Khit Yote Bi
singer:Ko Mya Gyi
当時の国防省が制作した「我ら労働者の時代がやってくる」と言う労働賛歌レコード。盤面上部に「軍人の為に国防省から出版した」とある。「怠け者の為の場所はない。働く者のためにこそある。これからは労働者の時代。怠けずに働こう。他の国に追い越されないよう」と朗らかに歌うプロパガンダソング。


Karawait Recording Company

title:Aung Par Say
singer:A Lin Gar Kyaw Swar Shwe Man Tin Maung
タイトルは「成功しますように」という意味。あらゆることに対して成功を祈っている。「寄進者が(成功しますように)、結婚するものも(成功しますように)、経済的にも恋愛においても(成功しますように)」と軽快に歌っており、非常に縁起の良い曲だ。この曲は現地で寄付を募る時によくかかっている。B面は伝統芝居を録音したもの。


King Wun Record

title:Tine Lone Kyaw
singer:Ko Khin Latt
Composer:Ko Ye Aung
主人公は打楽器奏者。野外劇や祭りがある時は依頼があってもなくても参加する生粋のミュージシャン。(ミャンマーではこういった行事には音楽が欠かせない)「妻は嫌に思っているけど、自分の好奇心は止められない。自分の趣味はやめられない」楽器の腕前に関しては「女性からモテまくるくらい自信がある」とのころ。バックの演奏はサインワイン楽団と、バンジョーとサンダヤーがたまに聞こえる。B面に入るとテンポが格段に上がり、歌詞の内容と繋がっている。


Kit Paw Tay Gi Ta Record Distribution

title:Tan Tan Ta Ta Nay Par Bi Kwae
singer:Hin Tha Ta Tun Yin
compose:Gi Ta Sar Soe.Win Soe
タイトルは直訳すると「恋しくて恋しくてたまらない」。恋人が戻ってくるのを待つ失恋の歌。レコード両面を繋げて一曲になる寸法。5:23からのトランペット、8分音符と3連符の間を縫うような奇妙なソロだ。編成はパルウェイ、サンダヤー、フネー、スィー、ワー、ビブラフォン。かすかに太鼓の音が聞こえるが、何かは不明。ビブラフォンが入る編成は珍しい。


Lay Lwin Aung Dat Pyar Htoke Lote Yae

[A]title:Ta Kal Lar! Hote Ye Lar?
singer:Zaw One+Cho Wai Lwin
compoer:Sandayar Hla Htut
backing:Sandayar Hla Htut Group
カップルがお互いにいかに好きかを言い合っている。「地球上全ての大地より好き」「地球上全ての水より好き」「空より好き」と徐々にスケールアップ。そのたびに言われた側は「本当!そうなの?」(=曲名)とややしたり顔で驚く。バカップル歌謡。メロディから浜口庫之助を感じるし、多分日本の歌謡曲のカバーだと思うんだけど…。

[B]title:Bo Ma
singer:Yote Shin Min Thar Zaw One
compoer:Gita Sar So Ko Lay Lwin
backing:Sandayar Hla Htut Group
タイトルのボマとは、欧米女性を指す象徴的な言葉。日本で言う「マドンナ」だろうか。両親から「ボマ」と名付けられた女性が大好きな男性が、ボマへの愛を歌っている。「その西洋的な美しさの中にはミャンマーらしさもある。だから改名してみたら?」と勧めている。ミャンマーでは18歳になるまでは改名が認められており、複数回改名する人もいる。


Lut Latt Yae Dat Pyar Myar

title:Mote Thone Oo
singer:May Shin(Yote Shin Minta Mee)
往年の名女優兼歌手・メーシィンの曲。相当古いレコードと思われる。伴奏楽器はミャンマースライドギター、バイオリン、サンダヤー。FILM ARTISTと表記があるように、元々歌謡界は、映画界の俳優たちが映画の主題歌や挿入歌を歌うことで生まれた。外周のクレジットを見ると、当時グラモフォン社はインドのムンバイにあったことが記されている。極彩色豊かなラベルが素晴らしい。


Ma Hoo Yar Records

title:Ngar Ma Thay Buu Yae Kuu Tat Tel
actor:Maung Maung Nyunt,Tin Tin Mya,May Hla Myaing
director:Maung Kyae Mone
「私は死なない、泳げるから(=生きる術を知っている)」と言う意味のタイトル。映画監督マウンチェーモンの作品から音だけ抜き取ったものか朗読劇かは不明。A面は氏の作品のトレイラー集。B面は娘の誕生日を祝う夫婦の会話。往年の大御所歌手兼俳優マウンマウンニュンやティンティンミャが出演。メーラミャインは更に一世代上の俳優。


Modern Dat Pyar Htoke Lote Yae

title:Khaut Htee Lay Nae Ho A Pyo
singer:Maung Maung Nyunt
compose:Ko Tin Soe
タイトルは直訳すると「傘をさしているとある少女」。古典音楽のエッセンスを取り入れたポップス。バックの編成も土着の楽器と西洋の楽器が混在しておりミャンマー独特。曲の構成も土着風と西洋風を往来している。レコード両面を繋げて一曲になる寸法。しかしまぁラベルのカラーイラスト可愛いな!!


Myawaddy Record Company

title:Chit Tor Chit Par Tal A Mae Sue Late Mal
singer:Maung Maung Soe
compose:Ko Win Soe
ラベルがボロボロすぎたけど無事解読。タイトルは「好きだけど、お母さんに叱られる(と言わないで)」。「あなた(=彼女)の母親は僕らの恋にいい顔しないけど、僕が説得するから」と歌っている。サウンド的にはタンズィン(ミャンマー古典音楽を継いだ大衆歌謡)直球。ビブラフォンが活躍している。


Nagar Dat Pyar Company Limited

title:Khar Tamar Cho Lay Ma So Thu Yae
singer:Khin Mar San
composer:Kyawe Muu
organizer:Kyi Kyat Pyu Su The
大意は「苦いタマーが甘くなったら付き合いましょう」。タマー(インドセンタン)は苦い植物で、どんなに待ち続けても甘くならない。決して実ることのない恋を描いた悲しい歌。主人公の女性は男性不信で、終始「いかに男性が信じられないか」を列挙している。健康的なラブソングが大半を占めるレコード全盛期にあってまさかのバッドエンドとは…。途中、タマーとの比較としてメザリィという苦い植物が出てくる。これは手を加えると食べられる。実際ミャンマーでは11月のダザウンモン満月の日、メザリィピートウッというサラダを食べ、一生の健康を祈る。


Nawaday Dat Pyar

title:Pan Kaut Tha Mar
singer:Torn Tay Tein Tan
ミャンマー歌謡界の大御所・トンテーテインタンが歌う、「花を拾う人」というラブソング。なんらかの理由で一緒になれない男女の仲を「月と星のように」「花と庭師のように」と、実らぬ恋の理由を様々なものになぞらえている。サウンド面はサンダヤー、バイオリン、土着の打楽器、ブラスセクション、パルウェイ(縦笛)と多種多彩な楽器が交錯する。

label:Nawaday Dat Pyar
title:Myittar Mi Eain
singer:Torn Tay Tein Tan
ミャンマー歌謡界の大御所・トンテーテインタンが歌う、「愛情のランプ」という超有名な歌。絢爛なサンダヤーとバイオリンから始まるこの歌は、「月や星の光も無い暗い夜、ランプだけが輝いていた。君とデートしたそんな夜の事を思い出している」と歌っている。A面の最後に針飛びあり。


Pan Sabae Dat Pyar

title:Pan Chin Tal Kha Yae Phoo Soe Lo
singer Torn Tay Tein Tan
composer:Phoe So Chin Khin Maung Nyunt
タイトルを直訳すると「頭に飾りたいんだって、ミサキノハナを」。現地では、この花を道端で売り歩く子をよく見る。Khin Maung Nyuntの名に冠せられたPhoe So Chinとは「とても歌いたい」の意味で、つまり歌バカってこと。作曲者のクレジットは無いがおそらくKhin Maung Nyuntの作曲作品と思われる。


Pyin Sa Yuu Pa Record

[A]title:Sait Kuu Yin Nya
singer:Cho Pyone
タイトルは直訳すると「空想の夜」。女性が冬の夜中に空想に耽る様子を描いている。「月明かりの下で葉っぱが喋っているように」など。バックのビブラフォンが夢物語度合いを増している。パッワインがビートをキープするのは珍しい。レコードロゴの動物はPyin Sa Yuu Pa=五不像(獅子、水牛、象、ニシニゴイダマシ、アカツクシガモの器官を具えているとされる想像上の動物)で、そのままレコード会社の名前にもなっている。(大学書林「ビルマ(ミャンマー)語辞典」より)

[B]title:Chit Thaw Man Thu
singer:Min Naung
タイトルは直訳すると「愛するマンダレーのあなたへ」。「きれいなマンダレー出身のあなた。私の心から消せない。タナカがよく似合う綺麗なあなた」ともうベタ惚れ。バックの編成はサンダヤー、サインワイン、ブラス。


Say Ta Nar Dat Pyar Htoke Lote Yae

title:Sae Yat Tine Tine
singer:Myo Mying Lay
composer:Khin Maung Nyung
タイトルは「10日間連続で君とデートしたね」。「月の光が輝く夜にデートした思い出を一生忘れない」と甘酸っぱい過去を反芻している。サックス、トランペット、クラリネット、サンダヤー、ビブラフォンと西洋楽器がふんだんに使われているがメロディーはあくまでミャンマー的。(B面で土着の楽器が少し登場する)昭和歌謡との近さも感じる。 


Sein Records

title:Nga Moe Yike Zat
actor:Sein Aung Min
王子が主人公の伝統芝居、その第7話と8話。姫のもとへ向かう王子は途中、大河に行く手を阻まれる。王子は自分の使いである伝説上のワニを召喚しーー。バックで鳴るサインワインが華やかで抜群。こういった芝居は現地の祭りで見ることができる。


Shwe Baho Dat Pyar Company

title:Nat Shin Naing Nae Dar Tu Kalayar
singer:Khin Maung Myint,Tin Tin Mya,Hla Hla Yee
compose:Ko Than Naing
ナッシンナウンという神についての連続劇、その3と4。サウンド的にはサインワインとサウンガウッというミャンマー古典音楽の二代巨頭が揃い踏み。歌手の中に往年の大女優兼歌手のティンティンミャもいる。珍しいビルマプレス(ミャンマーレコードの大半はインドプレス)。


Shwe Kyat Record

title:Kanyar Phyo Nae Zayar O(Pya Zat)
actor:U Dat Shin,Myo Taw Paw San,Aung Than Tin,Myo Taw Mu Mu
若い女性と年輩の男の恋模様を描いた喜劇。明るく健康的な笑いと、溌剌としたサインワイン楽団は相性が良い。ノイズがひどいが、それだけもとの持ち主が繰り返し聞いた証拠。ジャケに鶏が描いてあるのはShwe Kyatがおんどりの意だから。このおんどりレコードはレコ漁りの際よく目にする。


Shwe Son Nyo Dat Pyar Htoke Lote Yae

title:Ywar Da Lee Haung
singer:Nyi Nyi Lay
composer:Taung Tin Htay
タイトル「村の古い習慣」。主人公が「僕は都会の人間ではないから田舎の習慣が恋しくなる。いつも歌を歌いながら牛を働かせ、畑や穀物を作った。その時、ある女性といて幸せだった」と思い出を懐かしんでいる。B面は農業に従事する村民の姿を描いている。編成はサインワイン楽団、ブラスセクション、サンダヤー。鳥(オニカッコウ)の鳴き声が入っているのも珍しい。


Shwe Kyar Si Dat Pyar Htoke Lote Yar

title:Sa Pae Hla Hla Pan Pya Par
singer:Hinthata Tun Yin
composer:Ko Tint Moe
「きれいなジャスミンの花を飾ってみせてください」という題のラブソング。恋愛模様をジャスミンに例えている。ミャンマーの女性はジャスミンに限らず、頭に花飾りをする。バイオリン、サンダヤー、土着の打楽器、フネー、それら全ての音色が柔らかく、聴く者を優しく包む音楽。


Shwe Maung Than Datpyar Pyant Chi Yae

※両面で1曲
title:Lar Khe Par Shwe E The
singer:Myint Myint Shane
composer:Gita Than Soe
田舎に住む女性が歌う田舎賛歌。A面では「田舎はとても鮮やかな場所。景色を見に来てください」と、都会の住人を誘っている。Bは「都会の人は来客が回数を重ねると次第に丁重さを失うが、田舎はそうではない」と。バックの編成はサインワイン楽団とパルウェイ。A面0:13の鐘の音はチェーズィー(三角形の銅鑼)。托鉢を知らせる際などに用いられる。

title:Saung Tha Mar Lay Nae Ka Chae Thal Lay
singer:Pantarar Khin Khin Aye
composer:Taung Tin Htay
タイトルは「(男性の)竪琴奏者と(女性の)踊り子」。これは珍しい、女性から男性へのラブソング。編成はサンダヤー、サインワイン楽団、トランペット、ビブラフォン。音色の似ているトランペットとフネーが要所要所でユニゾンをしているのが特徴だ。


Super High Company Limited

title:Nyi Lay Toe Ywar
singer:Than Tun Lay
backing musicians:Super High Instrumental Group
ハイトーンボイスが印象的な歌手・タントンリェーが「田舎良いとこ一度はおいで」と歌っている。レコード両面を繋げて一曲になる寸法。サンダヤーとフネーのユニゾンを聴くと、サンダヤーの装飾音の多さがわかるし、それがいかが常々求められているかが窺える。レーベル名とバックバンドが一緒なのは、会社お抱えの楽団ってことだろう。

title:Ma Mae Thaw A Nyar
singer:Than Tun Lay
backing musicians:Super High Instrumental Group
ハイトーンボイスが印象的な歌手・タントンリェーが歌う「田舎を忘れない」。ラストへ向かいサイン、ブラス、サンダヤーが渾然一体と突き進むのが聞きどころ。これだけ大編成なのに和声が希薄なのが面白い。フネーが土着とブラスの橋渡しをし、チーワインがミャンマーとポリネシアを橋渡ししているように聞こえる。

title:Kaung Laung Hto Than Bae Thu Htan (7)/(8)
actor:Kyaw Sint,Tin TIn Htwe,Tin Tin Mya
backing musicians:Super High Instrumental Group
シリーズものの朗読劇その7と8。[7]冒頭は仏教の因果について歌われている。ミャンマーではこの図が瞑想する際に欠かせず、これは因果をまとめたもの。その後朗読劇がスタート。伝統芝居の踊り子の女性と2人の男性による三角関係の話。サウンド面はサインワイン楽団、サンダヤー、パルウェイ、ブラスが登場。[8]サインワイン楽団と歌で始まる。サインワイン楽団の溌剌かつ生命力に溢れた演奏が見事。その後朗読劇が始まる。サウンド面では少しだけギターが加わっている。最後の部分の華やかさたるや。

title:Ma har Zana Ka
composer:Mya Ka Laung
[A]singer:Tun Shwe
[B]singer:Khin Khin Nyunt,Hintha Kyu
現地で今でも有名な伝説上のマハーザナカ王子の物語を描いたレコード。ある日船で沖に出た王子は嵐に遭うが、海の守り神に助けてもらい、ある浜へ辿り着く。その地はちょうど治める人物を欠いており、王子は土地の者から統治者の座に就くよう懇願される。A面は王子たちが船上で楽しく過ごす場面。B面は出航前の王宮での場面。サインワイン楽団がややスローなテンポで演奏しており、各楽器の動きが分析しやすい。特にB面のメロディーラインの美しさと大胆な上昇/下降が素晴らしい。女性デュオのユニゾンというのも珍しく、ザ・ピーナッツを彷彿とさせる。(マハーザナカ王子はのちに菩薩になる)


Tet Toe Trading Company

title:Shwe Kyar Pan
singer:Daw May Shin
organize:Gita U San Maung Management
往年の女優(ミャンマーアカデミー賞を受賞)兼歌手・ドーメーシェンが歌うタンズィン(古典音楽を継いだ大衆歌謡)、「黄金の蓮」。「黄金の蓮のように心も経済的にも豊かになりましょう」と歌っている。この考えは仏教に基づいている。冒頭はサインワインから始まるが途中でパルウェイ、サンダヤー、ブラスが入れ替わり立ち替わり登場し、濃厚な音楽絵巻となっている。ラストのポリネシア〜カリプソ感とか、もう最高。

organize:A Lin Kar Kyaw Swar Sein Wai Hlaein Managed
[A]title:Kya Yaw A Soe Taw Nar Mal Kyi
singer:Khin Maung Hla
[B]title:Thar Ei Ta So Soe
singer:Khin Myo Hla
[A]歌手(キンマウンラッ本人)が有名っぷりを自慢するコメディソング。「毎日ファンレターが1000通も届くし、どんな町でも自分の名は轟いてま〜す」と能天気に歌っている。ラストでは「私は有名な歌手です(バカで〜す)」とセルフツッコミまであり。サインワイン/サンダヤー/サックスを伴った漫談歌謡。
[B]「うちの旦那は肌が黒いし口が悪いしおでこは出っ張ってるし鼻はとんがってるし」と妻が散々夫の悪口を言うコメディソング。それでもラストは「そんな旦那が好きなんです」で閉めてるツンデレ歌謡。

title:Ta Ku Latt
singer:Ko Min Thu
backing musicians:Tet Toe musical Instrument Group
タイトルは「バツイチ」。「バツイチの方が初婚の女性より色々知っているからいいね」と悪気もなく歌う下ネタコミックソング。サウンド的には、ミャンマー古典音楽の手法を継承している正統派カーラボー(流行歌謡)。サンダヤー、フネー、土着の打楽器が野生動物のように突進する様が素晴らしい。

group:Ywar Sar Gyi Sein Ka Lar Saing Group
[A]title:Sein Hle Kyar Pat San
[B]title:Mingalar Byaw
サインワイン楽団Ywar Sar Gyi Sein Ka Lar Saing Groupの演奏。縦線をバシバシきめるアンサンブル、タイミングをずらすハンの自在さにただただ脱帽。アッチェレランドでもリタルダンドでも正確無比だから末恐ろしい。もはやプログレ。ミャンマー音楽の基礎と豊潤な魅力と最大の謎がここにある。


Toe Naing Company

※両面で1曲
title:Latt Yae Tha Pyin Dee
singer:Ko Phoo Ant
compose:Nan Taw Shae Sayar Tin
backing musicians:Mandalay Myoma Group
ちゃぶ台を囲み食事をする家族とその睦まじさを描いた曲。手掛けたのは現地歌謡界の有名作曲家、ナンドーシエーサヤーティン。レコード両面を繋げて一曲になる寸法。ボーカルとサンダヤーの並走が主軸を担い、展開が進むにつれてクラリネットやパッワインが合流する。クラリネットはフネーの代役のように聴こえる。フィナーレの吹奏楽器のユニゾンが描くのはまさに大団円。バックバンドはマンダレーミョウマ楽団。

title:Wipandi Zat Taw(7&8)
act:Shwe Man Pantara Kyi Lin Zat Pwe
organizer:Shwe Daung Nyo
王家が舞台の仏話レコード。登場人物は王の息子二人、母君、家来。娯楽が無い時代のミャンマーでは、このように音楽以外のレコードも作られていた。演じているのはシュエマンパンタラーチーリンザッポェという一座で、俳優も演奏者も座員だ。こういった昔の劇は、現地の祭りで見ることができる。このレコードはvol.7、vol.8とナンバリングがあり、前後のストーリーを知るためには更に集めなければならない。

※両面で1曲
title:Shwe Pay Lo Ma Ya Par
singer:Tin Tin Hla
タイトルは「女性らしさは宝物でも買えない」。ミャンマー人女性の気品と淑やかさ、その大切さを説いている歌。「それを大切にできないなら、それ相応の男性としか出会えない」とも歌っている。抜群に上手いサインワインに耳が奪われる。B面ではバイオリンも登場。

※両面で1曲
title:Yone Tan Sa Kar
singer:Mar Mar Aye
compose:Ko Thet Oo
ミャンマー歌謡史上最も有名で最も重要な歌手・マーマーエーのレコード。バックはサンダヤー、フネー、太鼓(判別不可)。編成の小ささがが風通しの良さに繋がっている。そこはかとなく沖縄の匂いも感じる。

※両面で1曲
title:A Hlu Taw Mingalar
singer:Soe ? Than Lay,Myint MyintShane
composer:U Lay Khant
「太鼓の音が聞こえる。どこの村で寄付をやってるんだい?」で始まるレコード。ミャンマーは世界有数の寄付大国であり、現地で喜捨が行われる時は音楽が伴う。この盤はノイズが激しいが、サインワイン楽団の華やかさはうかがえる。

※両面で1曲
title:Thida Yae Sin
singer:Mar Mar Aye
composer:Ko Thet Oo
ミャンマー歌謡史上最も有名で最も重要な歌手・マーマーエーのレコード。編成はサンダヤー、パルウェイ、フネー、太鼓(判別不明)。親から子への愛情を水に例えて歌っている。このエピソードは仏話が元になっている。


Toy Wutt Yee Record

title:A Yaen Thu Myaetar Pya Zat
singer:Thein Soe
actor:Hin Thata Aung Tin Win/Tin Tin Htwe
レコードはラジオ誕生前に会話劇が楽しめるメディアだった。これは歌と会話劇が収録された盤。歌はティンソー。声の出演はヒンタッタアウンティンウィン(男性)、ティンティントゥエー(女性)。タイトルは直訳すると「野生の愛情劇」。田舎が舞台のラブロマンスでここで言う野生は「ありのままの」の意。


Tay Wutt Yee Dat Pyar

title:Sa Pae Pwint Chain Pyan Lar Mal Pan Hmone
singer:Nyaung Oo Aye Lwin
composer:Kyite Latt Tin Hla
バックの演奏はサンダヤーとサインとスライドギター。間奏でサンダヤーとフネーがテクニカルなユニゾンが聞ける。歌手名頭のニャウンウーとはバガンにある町の名前であり、ここでは出身地を指す。「ジャスミンの花が咲く頃に帰ってくるよ、Pan Hmone」と歌っている。Pan Hmoneが女性の名前。男性が遠い場所に大学に通っている。ミャンマーでは男性が女性に飾る花を贈る習慣がある。B面のサウンドがA面より技巧に長けている。


Than Lyan Dat Pyar Pyant Chi Yae

title:Ma Ma Myo Gyi Thu
singer:Tin Aung Lay
composer:Ye Thi Ha,Ko Tin Aung
ティンアウンレーが歌う片思いの恋。タイトルは「都会の姉さん」。姉さんは田舎の出身。男性の方が年下。若い頃一緒に育ったことを男性は覚えており、「今姉さんは都会に染まったよね。お願いだから一年に一度くらいは帰省してね。心細いよ」と歌っている。ミュートトランペットを使っているのは珍しい。ラベルに描かれた田植えをする女性の絵も良い。


Thein Htike Dat Pyar

singer:Tin Tin Htwe
composer:Htoo Aung
Yuwaddyという女性が主役の芝居レコード。サインワイン楽団、パッタラー、トランペットという興味深い編成。何故フネーを選ばなかったのか。おそらく創意工夫が追求した結果なのでは?A面に針飛びあり。


Thit San Tun

title:Luu Gyi Tway Thi Mar Soe Tal
singer:Hintthata Tun Yin
composer:Pan Htorar Chit Hlaing
タイトルは「お互いの両親に知られるおそれがある」。彼女といつも会うたび、彼女は顔がしおれている。男は「何か抱えているなら俺に言ってね」と言う。サンダヤー、トランペット、サックス、サインワイン楽団による伴奏。特にB面のテンポアップする箇所がかっこいい。そして凛々しいフクロウのロゴがかっこいい!レトロデザイン愛好家にもおすすめしたい一枚。


Wai Lwin Lwin Dat Pyar

title:Chit Thu Shi Yar Htar Nay Haung
singer&Composer:Sein Maung Myint
伴奏はサンダヤーとトランペットの二重奏。そこにサインワインとスライドギターが合流し、アップテンポで華やかなユニゾンへと結実する。特にB面のユニゾンは花火のように美しい。「村の入り口から君のことを想っている。愛する人へ、年月がいくらたっても、若い頃のことは忘れない。村の川で小舟に乗ったね」「冬の日、村で芝居をやった時、少女たちと少年たちが見に行った。その時あなたをからかったよね」と思い出を反芻する歌。


Win Min Recording

title:Myit Tar Saung Kyo Zat Lan(5)(6)
act:Torn Tay Thein Tan,Tin Tin Mya
music:A One Soe Myint Than Sone
タイトルは直訳すると「サウン(竪琴)の弦のような愛のドラマ」。ミャンマーでは、サウンは確かな繋がりを象徴する。これは連続ドラマのvol.5と6。主役を演じるのは大御所トンテーテインタンとティンティンミャ。劇伴はエーワンソーミェッタンソン。

title:Myit Tar Saung Kyo Zat Lan(7)(8)
act:Torn Tay Thein Tan,Tin Tin Mya
music:A One Soe Myint Than Sone
「サウン(竪琴)の弦のような愛のドラマ」の続編。今回は7と8。以下あらすじ。かつて有名歌手だった男性が病に伏し、とある無名女性歌手へ自作の歌を提供した。その曲が元で女性は人気を博す。女性が活躍すればするほど男性は寂しさを感じ…。B面冒頭で流れるのはその曲です。


Yadanar Tun Record

title:Tae Yae Bawa Yae Chit Thu Yae
actor:Hintthata Tun Yin,Cho Pyone,Chit Sa Pae
連続ドラマレコードのvol.7と8。タイトルは「音楽と人生と恋人と」。音楽家として大成したい男とその彼女が主役。彼女の父親は「貧乏な男より金持ちと結婚しなさい」と望むが…。A面の歌はFrosty the Snowmanを一部分だけ引用している。ミャンマーではこのようなメロディの本歌取りが時々見られる。


unidentified

※両面で1曲
label:unknown
title:Main Ma Yuu Yan Thein Su Pan
singer:Maung Maung Nyunt
compose:Ko Kyae Mone
レーベル不明の盤。「結婚する為に願いを込めて宝くじを買う」という歌。田舎を走る宝くじ販売車で流れている。土着の太鼓、サンダヤー、ブラスが三位一体となった伴奏が面白い。要所要所でテンポの加減速があり、そのたびに耳が迷子になる。あぶらだこっぽい。

label:unknown
title:Tha Mu Da Ya Yin Kwin Pya Zat
singer:Maung Maung Nyunt,Cho Pyone
連続ドラマレコード。師匠のもとで伝統芸能のレッスンを受ける男性と女性。舞踊を学ぶ女性は筋がよく、男性はその姿を温かく見守る。レッスンのたびに同じ時間を過ごす2人はやがて互いを好きになる。それに気付いた師匠が男性を呼び出しーー。音的にはサインワイン楽団/サンダヤー/ブラスが揃い踏み。

※両面で1曲
label:unknown
title:Nge Chit Houng Si Pyan Lar Mal
singer:Tun Tun Lay
Composer:Ko Hla Moe
「初恋のあなたがいる場所に帰ります。もう私の事を忘れましたか?」と、昔の恋人へ愛を語る曲。「昔のような関係に戻りたい」と続けるが、女性が今どう思っているかまでは歌われていない。サウンド的にはサインワイン楽団、ホーンセクション、サンダヤーが揃い踏み。

※両面で1曲
label:unknown(もしかしたらAung Tha Pyaeアウンダピェイー?)
title:Maung Nae A Tuu Tuu A Pyaw Sone Naye
singer:Ton Tay Thein Tan,A Kai Da Mi Aye Aye Thin
Composer:Ko Myat Lin
とあるカップルの結婚式当日を描いた、歌と芝居で構成されたレコード。カップルはまず両家の両親の前で挨拶をする。両親は2人のために祈りを捧げる。夫が妻に「年を取っても愛し合おう。今日はとても幸せな日で、君の笑顔も誰よりも綺麗だ」と言う。式が始まると、司会者や参列した友人たちの声や生演奏が場を彩る。盤の外周には「このレコードから歌を録音する事を禁止します。違反し場合、著作権法により罰せられます」とある。この注意書きがある盤は初めて見た。A Kai Da Miとはアカデミーの意で、「ミャンマーアカデミー賞を受賞したエーエーティン」ということ。

※両面で1曲
label:unknown
title:Kyar Lay Lay Way Mar Soe Ta
singer:Tan Phay Lay
composer:Ko Lay Lwin
ラベルがボロボロだけど詳細把握できた。ギリギリ残っている文は「本当に音楽の事をわかっている音楽家たちが集まって出版した」と書かれている。土着の楽器に加え、サンダヤー、バイオリン、ビブラフォン、スライドギターなどが使われている。スライドギターが聞こえると途端にハワイアンっぽくなる。

label:?
title:?
singer?
ダメージがひどすぎる詳細不明のレコード。男女の会話劇のようだけど…?バックはブラスセクション、サンダヤー、サインと三つ巴のアンサンブル。A面で男性が女性に告白し、断られている。B面は女性が故郷の村に帰省した場面で、田舎ののどかさが描かれている。やがて男女がむつまじく歌い始める。

label:?? Dat Pyar
title:Ta Ywar Lone Ka Pyaw Kone Ja Bi
singer:A Nyar Thar Aye Lwin
composer:Taung Tin Htay
タイトルは「(君と僕の仲が)村中に言われている」。Aメロはミャンマー的旋律、サビは西洋的旋律と明確に区分けされている。これは当時の作曲家が、西洋のポピュラーミュージックの構成システムを応用/発展させたものだ。一曲の中で洋の東西が混ぜこぜになっており、その独特さに脱帽する。

title:Mahar Bawdi Myat Swae Taw Shin San Taw Shin Zay Di Taw Tha Mine
singer:Tin Tin Mya
タイトルは「マハーボディー仏歯と聖髪(が納められている)パゴダの歴史」。ヤンゴン市タケタにあるマハーボディー寺院の歴史を歌を通じて伝えている。歌っているのは今でも現地歌謡界で有名なティンティンミャ。お経も少し入っている。

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